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マキタの振動ドリルが受け持つ穴|石工の欄と打撃数で分かれる3つの機械

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モルタルの壁に細い穴を開けたいだけなのに、候補としてハンマードリルとドライバドリルと振動ドリルが並びます。3つは名前が似ていて、片手で持てる大きさのものは外観まで似ています。迷う原因は本体の見比べ方ではなく、穴を開ける相手を先に書き出していないところにあります。ハンマードリル側の型番の見方はハンマードリルの型番とシャンクの見方、ねじ締めを主に受け持つ機械はドライバドリルの機種とトルクの見方で扱っています。

振動ドリルは、回転する刃に細かい打撃を重ねて硬い相手を削り進む機械です。マキタの取扱説明書に載る打撃数は、12mm震動ドリルのHP1230が毎分0から31,900回、16mm震動ドリルのM816が毎分0から48,000回です。ハンマードリルのHR1841Fは毎分0から4,800回で、桁が1つ違います。

開ける相手をモルタル、レンガ、タイルと書き出せるなら、振動ドリルの守備範囲に入ります。鉄筋に当たる穴や1日に何十本も並べる穴はハンマードリルの領域へ移り、木材と鋼板だけならドライバドリルで足ります。

この記事では、次の内容を整理します。

  • 毎分3万回台の打撃を回転に重ねる振動ドリルの構造
  • マキタの資料で震動ドリルと書かれる分類名
  • 取扱説明書の石工の行が指す穴を開ける相手
  • 丸軸のチャックとSDSプラスで入れ替わらない先端工具
  • アンカーの下穴を振動ドリルで開けるときの段取り
  • 木材と鋼板ならドライバドリルで足りる線引き

※本記事は、株式会社マキタが公開している取扱説明書の記載をもとに、2026年9月時点の内容を整理したものです。製品の仕様および表記は改良にともなって変更される場合がありますので、導入前に型番ごとの最新の記載をご参照ください。

当社はマキタの代理店です。広島の本社と5つの営業所から、電動工具と建築・土木資材をお届けしています。
お探しの品目やお困りごとがはっきりしている場合は、この先を読み進める前にご相談いただいて構いません。ご相談は法人・個人事業主のお客様を対象としております。082-232-1141(当社 本社)/お問い合わせフォーム

目次

毎分3万回台の打撃を回転に重ねる振動ドリルの構造

打撃数が毎分3万回台と5千回未満に分かれる2つの機械

振動ドリルとハンマードリルの差は、取扱説明書の主要機能表にある回転数と打撃数の2行を並べると数字で出ます。振動ドリルは回転を主役にして、刃先が浮かないよう細かい打撃を大量に重ねます。ハンマードリルは打撃を主役にして、回転はビットの向きを変えるために添えられています。押し当てて回す道具と、体重をかけずに待つ道具という使い方の差につながります。

型番ごとの打撃数と回転数(各機種の取扱説明書の主要機能表より)

型番と分類
打撃数(回/分)
回転数(回転/分)
HP1230(震動ドリル)
0〜31,900
0〜2,900
M816(震動ドリル)
0〜48,000
0〜3,200
HP2032(2スピード震動ドリル)
高速 0〜32,000/低速 0〜9,400
高速 0〜2,900/低速 0〜850
HP001G(充電式震動ドライバドリル)
高速 0〜39,000/低速 0〜9,750
高速 0〜2,600/低速 0〜650
HP484D(充電式震動ドライバドリル)
高速 0〜30,000/低速 0〜7,500
高速 0〜2,000/低速 0〜500
HP330D(充電式震動ドライバドリル)
高速 0〜22,500/低速 0〜6,000
高速 0〜1,500/低速 0〜400
8406(ダイヤコア震動ドリル)
0〜22,500
0〜1,500
HR1841F(ハンマドリル)
0〜4,800
0〜2,100
HR2300(ハンマドリル)
0〜4,600(欄名は打撃回数)
0〜1,200
HR2670(ハンマドリル)
0〜4,500(欄名は打撃回数)
0〜1,500
DF484D(ドライバドリル)
打撃数の行なし
高速 0〜2,000/低速 0〜500

打撃の数だけを見れば振動ドリルが上に並びます。ところが、数の多さは打撃1回あたりの強さを表していません。細かい打撃を大量に当てる方式は、硬い骨材や鉄筋に当たったところで進みが落ちます。鉄筋の入ったコンクリート躯体は、打撃を主役にした機械の側が受け持つ相手です。

欄の名前も系統によって揺れています。振動ドリルとドライバドリルの表では打撃数と書かれ、HR2300とHR2670の表では打撃回数と書かれています。同じ量を指していますので、資料を横に並べるときは欄名の違いで取りこぼさないようご注意ください。

打撃を切ると1桁下がる振動3軸合成値

主要機能表の振動3軸合成値は、モードごとに分けて載っています。打撃を入れたモードと回転だけのモードで値が大きく離れますので、1台をどちらの使い方で回すかによって手に伝わる大きさが変わります。

モードごとの振動3軸合成値(単位はm/s²)

型番と分類
打撃を入れたモード
回転だけのモードと測定規格
HP1230(震動ドリル)
振動ドリルモード 23.5
ドリルモード 2.5未満/EN60745-2-1
M816(震動ドリル)
震動ドリルモード 17.0
ドリルモード 2.5/EN60745-2-1
HP2032(2スピード震動ドリル)
振動ドリルモード 17.5
ドリルモード 3.0/EN60745-2-1
HP001G(充電式震動ドライバドリル)
震動ドリルモード 6.0
ドリルモード 2.5未満/EN60745-2-1
HP484D(充電式震動ドライバドリル)
震動ドリルモード 8.0
ドリルモード 2.5未満/EN60745-2-1
HP330D(充電式震動ドライバドリル)
震動ドリルモード 9.5
ドリルモード 2.5未満/EN60745-2-1
HR1841F(ハンマドリル)
ハンマドリルモード 7.5
ドリルモード 3.0/EN60745-2-6と2-1
HR2670(ハンマドリル)
ハンマドリルモード 16.1/ハンマモード 14.2
ドリルモードの行なし/EN62841-2-6

HP1230は打撃を入れると23.5、切ると2.5未満で、10倍近く離れます。木材や鋼板の穴あけを回転だけで進めれば、手に伝わる大きさは石工の穴あけより小さく収まります。1台をモードで使い分ける運用では、この差が1日の疲れ方に出ます。

測定規格の欄まで見ると、機種をまたいだ比較には注意が要ります。振動ドリル系はEN60745-2-1で測られ、HR1841FはハンマドリルモードだけEN60745-2-6、HR2670はEN62841-2-6です。規格が違う値を並べて大小を論じることはできませんので、比べるときは同じ規格の行同士を突き合わせてご確認ください。

2スピード機で低速側に落ちる打撃数

変速のある機種では、回転と打撃が同じ軸から取り出されています。HP2032は高速側で回転が毎分0から2,900回、打撃が毎分0から32,000回ですが、低速側に落とすと回転が毎分0から850回、打撃も毎分0から9,400回まで下がります。低速で細かく叩き続ける使い方はできません。

穴あけ能力の欄にも同じことが表れています。HP2032のコンクリートの行は高速側が20mmで、低速側は横棒が引かれています。石工の穴あけは高速側で進める前提になっており、低速側は鉄工13mmと木工40mmという、太い穴をゆっくり回す用途に振られています。

充電式でも同じ構造です。HP001Gは高速側が打撃毎分0から39,000回、低速側が毎分0から9,750回で、HP330Dは高速側が毎分0から22,500回、低速側が毎分0から6,000回です。速度の切り替えは、モーターの回転が停止した状態で行うようにという注記が付いています。

出典:株式会社マキタ『12mm震動ドリル HP1230 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『16mm震動ドリル M816 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『20mm 2スピード震動ドリル HP2032 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP001G 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP474D・HP484D 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP330D 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『ハンマドリル HR1841F 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『ハンマドリル HR2300・HR2600・HR2601F・HR2611F 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『ハンマドリル HR2670 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式ドライバドリル DF474D・DF484D 取扱説明書』

コードの付いた交流機、マキタの12mm震動ドリルHP1230の本体外観。ドリルチャックにチャックキーを差し込んだ状態で、超硬ドリルとグリップが取り付けられています。

マキタの資料で震動ドリルと書かれる分類名

取扱説明書の表紙に並ぶ震動ドリルという製品名

カタログや製品ページで振動ドリルを探しても見つからないことがあるのは、品揃えではなく漢字が理由です。マキタが付けている製品名は震という字を使います。HP1230の取扱説明書の表紙は12mm震動ドリル、M816は16mm震動ドリル、HP2032は20mm 2スピード震動ドリルです。

分類は3系統に分かれます。コードの付いた交流機が震動ドリル、電池で回る機種が充電式震動ドライバドリル、コアビットも駆動できる8406がダイヤコア震動ドリルです。ハンマードリルの側も、分類名は伸ばし棒を入れないハンマドリルです。

型番の頭も手掛かりになります。HP1230・HP2032・HP001G・HP484D・HP330DがHP、ハンマドリルのHR1841F・HR2300・HR2670がHR、打撃を持たないドライバドリルのDF484DがDFで始まります。ただしM816と8406は震動ドリルでもこの形に当てはまりませんので、型番の頭だけで分類を決めることはできません。

同じ冊子の中で入れ替わる震動と振動

表記は1冊の中でも一本化されていません。HP1230の取扱説明書は表紙と目次が震動ドリルで、同じ冊子の主要機能表では振動3軸合成値の行に振動ドリルモードと書かれています。M816は主要機能表も本文も震動ドリルモードで揃い、回転のみをドリルモード、回転と打撃をあわせた側を震動ドリルモードと呼び分けています。

HP2032は主要機能表が振動ドリルモードで、目次はドリル・震動ドリルモード切り替えツマミの操作です。8406は製品名がダイヤコア震動ドリルなのに、チェンジレバーの説明では回転と打撃をあわせた側を振動ドリルモードと書いています。充電式のHP001G、HP330D、HP484Dは主要機能表が震動ドリルモードです。

傾向としては、製品の名前とモードの呼び名に震、測る量の名前である振動3軸合成値に振という字が当てられています。ただしモードの呼び名は機種ごとに入れ替わっており、どちらが正しいと言い切れる状態ではありません。

現場と検索で使われる振動ドリルという言い方

現場では振動ドリルと呼ばれ、検索でもこの書き方が使われます。指しているものは同じですから、現場での言い方を直す必要はありません。資料を自分で当たるときだけ、震動という字でも引いてみる1手を加えれば済みます。マキタの品揃えを分類ごとに見渡したい場合は、マキタの工具を用途別に見た選び方から入ると全体の並びがつかめます。

当社では、振動ドリルという言い方でお問い合わせをいただいた段階で開ける相手をお聞きし、震動ドリルとハンマドリルのどちらの系統をお出しするか整理しています。型番が手元になくても、材料と穴の径をお知らせいただければ候補を絞れます。

出典:株式会社マキタ『12mm震動ドリル HP1230 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『16mm震動ドリル M816 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『20mm 2スピード震動ドリル HP2032 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『ダイヤコア震動ドリル 8406 取扱説明書』

取扱説明書の石工の行が指す穴を開ける相手

石工・コンクリート・最大穿孔能力と欄名が変わる同じ行

硬い相手の穴あけ能力を示す行は、機種によって5通りの欄名で書かれています。径の数字だけを拾って横に並べると、違う定義の値を比べてしまいます。まず欄名を読み、次に数字を読む順番でご確認ください。

硬い相手の穴あけ能力にあたる行の欄名と径

型番
硬い相手にあたる欄の名前と径
鉄工・木工の径とドリルチャック能力
HP1230
最大穴あけ能力 コンクリート 12mm
鉄工 10mm/木工 15mm/チャック 1.5〜10mm
M816
最大穿孔能力 コンクリート 16mm
鉄工 13mm/木工 30mm
HP2032
穴あけ能力 コンクリート 高速 20mm/低速は横棒
鉄工 高速 8mm・低速 13mm/木工 高速 25mm・低速 40mm/チャック 1.5〜13mm
HP484D
穴あけ能力 石工 13mm
鉄工 13mm/木工 38mm/チャック 1.5〜13mm
HP001G
穴あけ能力 石工 20mm
鉄工 20mm/木工 50mm(座堀り 76mm)/チャック 1.5〜13mm
HP330D
穴あけ能力 超硬ドリル 8mm
鉄工キリ 10mm/木工キリ 21mm/チャック 0.8〜10mm
8406
穴あけ能力 コンクリート 超硬ドリル 20mm/ダイヤモンドコアビット 120mm×深さ180mm
鉄工 13mm/木工 30mm/チャック 2〜13mm

硬い相手にあたる同じ行に、HP1230の取扱説明書は最大穴あけ能力のコンクリート、M816は最大穿孔能力のコンクリート、HP2032と8406は穴あけ能力のコンクリートという欄名を当てています。充電式のHP484DとHP001Gは同じ行を石工と書き、HP330Dは材料名すら使わず超硬ドリルという刃の側からの表記です。径の数字だけを見て、どんなコンクリートでもその径まで開けられると読むのは避けてください。

1充電作業量の目安に並ぶレンガとモルタル

充電式の震動ドライバドリルには、1回の充電で開けられる穴の本数の目安が載っています。石工側の目安に挙がる材料を見ると、想定されている相手がはっきりします。

HP001Gは超硬ドリル8.0mmで深さ30mmの穴をレンガに約400本、木工キリ21mmで厚さ30mmのラワンに約800本という記載です。HP330Dは超硬ドリル6.5mmで深さ30mmの穴をレンガに約40コ、8.0mmではモルタルに約17コと書かれています。この2機種が1回の充電での作業量に材料として挙げているのはレンガとモルタルで、コンクリートは挙げられていません。主要機能表の欄名にコンクリートを使う機種があっても、本数の目安として示されている相手はレンガとモルタルです。

注記の読み方にも1点あります。石工の数字は震動ドリルモード使用時、木工の数字はドリルモード使用時と分けて書かれていますので、両方を足した本数が1回の充電で出るわけではありません。数値は参考値で、穴あけ場所の材質などによって変わるとも添えられています。

穴を開ける相手から3つの機械へ振り分ける

モルタル・レンガ・タイル
振動ドリル(震動ドリル、震動ドライバドリル)の守備範囲です。取扱説明書では石工またはコンクリートの欄と、打撃数の欄を確かめます。

鉄筋の入ったコンクリート躯体・1日に何十本も並べる穴
ハンマードリル(ハンマドリル)の領域です。打撃1回あたりで削り取る量が大きく、打撃数の欄は毎分5千回未満に収まります。

木材・鋼板・各種のねじ締め
ドライバドリルで足ります。主要機能表に打撃数の行を持たず、石工にあたる欄もありません。

鉄筋の入ったコンクリートで手が止まる場面

打撃1回あたりのエネルギーが小さい機械では、硬い骨材や鉄筋に当たったところで進みが落ちます。そこで押しつけて回転数を下げると、取扱説明書が避けるように求めている使い方に入ります。

HP1230の取扱説明書は、無理に押しつけて回転数を落とすことは避けるようにと書き、作業能率が低下するばかりでなく製品の寿命も短くなると続けています。HP001GとHP330Dの取扱説明書は、作業効率が低下するばかりでなく1回の充電での使用時間が短くなると書いています。この2機種には、予備のバッテリーを使って連続作業をする場合は本体を15分以上休止させるようにという指示も並んでいます。

鉄筋の入ったコンクリート躯体にアンカー用の穴を並べる作業や、1日に何十本も開ける作業は、打撃方式が別の機械の領域です。打撃機構の違いと振動対策の見方はハンマードリルの打撃方式と機種選定の基準にまとめてあります。

当社では、開ける相手の材料と1日あたりの穴の本数をお聞きしてから、どの系統に当たるかを一緒に確かめています。本社と5つの営業所のいずれからでもご相談をお受けしており、呉営業所には江田島分室があります。

出典:株式会社マキタ『12mm震動ドリル HP1230 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『16mm震動ドリル M816 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『20mm 2スピード震動ドリル HP2032 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP001G 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP330D 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP474D・HP484D 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『ダイヤコア震動ドリル 8406 取扱説明書』

丸軸のチャックとSDSプラスで入れ替わらない先端工具

チャックキーで3か所を均等に締める丸軸のくわえ方

交流機の振動ドリルは、丸軸のキリをドリルチャックでくわえます。標準付属品のチャックキーは、HP1230がS10、M816とHP2032と8406がS13です。キーの番号はチャックの大きさに対応しており、ドリルチャック能力はHP1230が1.5から10mm、HP2032が1.5から13mm、8406が2から13mmと記載されています。

取り付けの手順も細かく指定されています。ドリルチャックの3か所の穴のうち1か所にチャックキーを差し込み、左へ回すと先端のツメが開きます。キリを差し込んでからキーを右方向に回して締め付けますが、1か所だけで締め付けず3か所を均等に締め付けるようにと注記されています。取りはずすときは同じ穴にキーを差して左へ回します。

スリーブを回して締める充電式のキーレスチャック

充電式の震動ドライバドリルはキーを使いません。HP001GとHP484Dは、スリーブを左へ回すとドリルチャックの先端のツメが開き、ビットやキリを差し込んでスリーブを右へ回して強く締め付ける手順です。工具箱にチャックキーを入れておく必要がなく、片手で刃を替えられます。

HP001Gには音についての注記が付いています。ツメを最大に開いた状態からさらに開くと、スリーブを締めるときにカチカチと音がします。構造上発生するもので故障ではなく、スリーブを左方向に少し戻してから締め直すと音がなくなると書かれています。現場で初めて聞くと不具合を疑う音ですので、覚えておくと迷いません。

40Vmaxのバッテリーを装着したマキタの充電式震動ドライバドリルHP001Gの本体外観。キーを使わずスリーブを回して締めるドリルチャックと、サイドグリップ、ストッパポールが取り付けられています。

溝にグリスを塗って差し込むSDSプラスシャンク

ハンマードリルの先端工具は、軸の形が丸軸と別です。HR1841FとHR2670の別販売品には、超硬ドリルと3Dプラス超硬ドリルがSDSプラスシャンクという軸の名前付きで並んでいます。HR2670にはテーパーシャンクの超硬ドリルと、それを付けるためのテーパーシャンクアダプタとコッタも載っています。

取り付け方は差し込み式です。HR2300の取扱説明書は、ビットのシャンクをきれいにして溝部にグリスを塗り、回しながら位置を合わせて奥まで差し込み、引っ張って抜けないことを確かめるようにと書いています。取りはずしはチャックカバーをいっぱいまで引いて引き抜く手順です。溝を本体側がつかんで前後に動かす仕組みですので、丸軸をくわえるチャックとは役割が違います。

刃の側から見ると、SDSプラスシャンクの超硬ドリルを振動ドリルのドリルチャックで締めても芯が出ず、打撃を前後に伝える仕組みもはたらきません。逆方向には別販売品が用意されています。HR1841Fにはドリルチャックアッセンブリという各種キリ取付用の別販売品があり、木工と鉄工用で回転のみで使用するようにと明記されています。ハンマードリルに丸軸のキリを付けられる場合でも、打撃をかける穴あけには使えないという条件が付きます。

本体と先端工具を別枠で数える段取りはハンマードリルを借りるときの手配の進め方で扱っています。刃を本体と同時に手配しておかないと、届いた日に穴が開けられません。

当社では、本体の型番をお決めいただく段階で、その本体のチャック能力に収まる超硬ドリルの径と本数もあわせてお出ししています。手元の刃が丸軸かSDSプラスかご不明な場合は、軸に溝があるかどうかをお知らせいただければ判別できます。

出典:株式会社マキタ『12mm震動ドリル HP1230 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『16mm震動ドリル M816 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP001G 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP474D・HP484D 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『ハンマドリル HR1841F 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『ハンマドリル HR2300・HR2600・HR2601F・HR2611F 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『ハンマドリル HR2670 取扱説明書』

アンカーの下穴を振動ドリルで開けるときの段取り

下穴の径と深さを決めるのはアンカー側の指定

振動ドリルで開ける穴の多くは、それ自体が目的ではなくアンカーやプラグを入れるための下穴です。下穴の径と深さは使うアンカーの品種ごとに決まっていますので、まずアンカーの説明書に書かれた寸法を読み、その径の超硬ドリルを用意します。

本体側の数字は上限として使います。HP1230なら石工にあたるコンクリートの欄が12mm、ドリルチャック能力が1.5から10mmですので、10mmを超える軸のキリはくわえられません。穴あけ能力とチャック能力の2つを先に照らし合わせておけば、現場で刃が入らないという事態を避けられます。

刃の種類も取扱説明書で指定されています。HP1230は、コンクリートやタイルなどの石材に穴あけする場合はモード切り替えレバーを右へずらすと書いたうえで、キリは超硬ドリルを使うようにと続けています。HP001Gの震動ドリルモードの項も、ドリルは超硬ドリルを使うようにという1文から始まります。木工用のキリや鉄工用のドリルを石工の相手に当てると刃先が丸まって進まなくなります。

粉じんの排出とスポイトによる穴の清掃

深い穴では粉が詰まって進まなくなります。HP1230とM816は、深い穴で粉じんがつまるときは超硬ドリルを回転しながら2回から3回出し入れさせて粉じんを排出するようにと書いており、HP001Gにも同じ注記が並んでいます。押し込み続けるのではなく、抜き差しして粉の道を作る手順です。

開け終わった後の清掃には別販売品が用意されています。HP1230の取扱説明書にはスポイトの使い方という項があり、コンクリートなどに穴あけした後、穴の中に残った粉じんを取り除くときに使うと説明されています。スポイトは標準付属品ではなく別販売品で、部品番号765009-6として載っています。アンカーの説明書に穴の清掃の指示がある場合は、その指示に従って粉を出してから入れます。

位置決めについても1点あります。HP001Gのワンポイントには、穴の位置決めは低速回転で作業することで正確になると書かれています。引金の引き加減で回転数が変わる無段変速ですので、浅く当てて当たりを付けてから回転を上げる進め方ができます。

穴の抜けぎわとキリの逆転で出る振り回され

取扱説明書の警告には、抜けぎわについての1項が入っています。M816とHP1230は、穴の抜けぎわではキリが折れたり本体に大きな力がかかって振り回される恐れがあるとして、抜けぎわを確認しながら慎重に作業するよう求めています。キリを逆転させて抜くときも同じ恐れがあるため、本体をしっかり保持してからスイッチを入れる手順が書かれています。

HP001Gには振り回され低減機能という機構があります。所定の加速度で振り回されると、手首の負担を軽減するために強制的にモーターを止め、いったんスイッチレバーを放して再び引けば使えるようになります。ただし振り回された際に所定の加速度に満たない場合は、この機能ははたらかないという注記も並んでいます。機能に異常がある場合はライトが点滅してから消灯するとも書かれています。

大径のコアビットを使うときは、始動時にスイッチレバーをゆっくり引くようにという指示が付いています。急な始動で本体が振り回されると、低減機能がはたらいて止まる場合があるためです。耐久性と稼働時間の見方は業務用モデルの耐久性と稼働時間の判断基準で整理しています。

出典:株式会社マキタ『12mm震動ドリル HP1230 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『16mm震動ドリル M816 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP001G 取扱説明書』

木材と鋼板ならドライバドリルで足りる線引き

回転とクラッチ、回転だけ、回転と震動という3つのモード

充電式の震動ドライバドリルは3つのモードを持ちます。HP001Gの取扱説明書は、モード切り替えリングを操作することで3モードの切り替えができると書き、回転とクラッチを使うネジ締めモード、回転のみのドリルモード、回転と震動をあわせた震動ドリルモードという3つを挙げています。HP330Dも同じリングで、震動ドリルモード、ドリルモード、ネジ締めモードの3つを切り替えます。ねじ締めと木材の穴あけ、石工の穴あけを、1台のリング操作で切り替える構成です。

交流機の振動ドリルは2つのモードにとどまります。M816の取扱説明書は、ワンタッチでドリルモードと震動ドリルモードの切り替えができるモード切り替えレバーが付いていると説明しています。回転のみの側と、回転に打撃を足した側を、レバーを左右へずらして替える仕組みです。レバーを動かし切らずに中間の位置で使うと故障の原因になるという注記も付いています。クラッチを使うねじ締めのモードは持ちませんので、ねじ締めを日常的に行う作業には別の機械が要ります。

DF484DとHP484Dで違うのは石工の行と打撃数の行

振動ドリルがドライバドリルの何を足した機械なのかは、同じ18Vの兄弟機を並べると読み取れます。充電式ドライバドリルのDF484Dと充電式震動ドライバドリルのHP484Dは、取扱説明書の主要機能表がほとんど同じ数字で埋まります。

DF484DとHP484Dの主要機能の並び(各取扱説明書の18V側の記載)

主要機能の行
DF484D
HP484D
穴あけ能力 石工
行なし
13mm
打撃数(回/分)
行なし
高速 0〜30,000/低速 0〜7,500
穴あけ能力 鉄工/木工
13mm/38mm
13mm/38mm
ネジ締め能力
木ネジ 10mm×90mm/小ネジ M6
木ネジ 10mm×90mm/小ネジ M6
回転数(回転/分)
高速 0〜2,000/低速 0〜500
高速 0〜2,000/低速 0〜500
ドリルチャック能力
1.5〜13mm
1.5〜13mm
質量(バッテリーを含む)
1.7kg
1.8kg

増えているのは石工の行と打撃数の行の2つで、質量が0.1kg重くなります。ねじ締めの力を示すネジ締め能力の行と、鉄工13mm・木工38mmという穴あけの径は同じです。締め付け力切り替えリングの段数も両機とも21段階で、目盛は1、3、5と進んで21まで強くなります。

18Vのバッテリーを装着したマキタの充電式震動ドライバドリルHP484Dの本体外観。ドリルチャックの後ろに、目盛が21まで刻まれた締め付け力切り替えリングが写っています。

読み取れることは1つです。石工の穴あけを足しても、ねじ締めと木工・鉄工の穴あけの性能は上がりません。石工の穴を開ける予定がないなら、打撃機構を持たない側で用が足ります。ねじ締めの力の見方はインパクトドライバーのトルクと電圧の見方を先に押さえておくと、機種選びの順番が整います。

鋼板の穴あけで指定されるセンタポンチと油

回転だけのモードで鋼板に穴を開ける手順も取扱説明書にあります。HP1230は、金属に穴をあける場合は穴をあけたい位置にセンタポンチでクボミをつくり、そのクボミにキリの先をあてがえばキリの先がすべらず正確な位置に穴あけができると書いています。HP001Gも金属板について同趣旨の説明を載せています。

油の指定も付きます。HP1230は穴あけ時にキリに油を付けて作業するようにと書き、HP001Gは鋼板の穴あけ時にドリルに油を付けて作業するようにと書いています。どちらも例としてマシン油を挙げています。石工の穴あけでは出てこない道具が鋼板では指定されますので、1台で兼ねる運用にするなら、超硬ドリルと一緒にセンタポンチと油も工具箱に入れておく段取りになります。

1台で兼ねるか2台に分けるかの判断

石工の穴が月に数本という頻度なら、モードを切り替えて使う1台に寄せる形が持ち物を減らします。毎日ねじを締める作業が主で石工の穴が時々という場合は、ねじ締め側を専用の機械にする方が締め付け力の調整をやり直さずに済みます。判断の材料は本体の性能ではなく、1週間の作業の内訳です。

1台に寄せる場合は、振動3軸合成値の表をもう一度見ておくと運用が決まります。打撃を入れたモードと回転だけのモードで値が離れますので、木工と鉄工の穴あけはドリルモードに落として回す習慣にすると手に伝わる大きさが下がります。動力源の向き不向きは充電式工具とエンジン式を用途で分ける選定基準で扱っている考え方が参考になります。

当社では、1週間の作業の内訳をお聞きしたうえで、1台に寄せる組み方と2台に分ける組み方の両方をお出ししています。すでにお持ちの電池の規格があれば、それに合う本体から候補を絞ります。

出典:株式会社マキタ『12mm震動ドリル HP1230 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『16mm震動ドリル M816 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP001G 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP330D 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式震動ドライバドリル HP474D・HP484D 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『充電式ドライバドリル DF474D・DF484D 取扱説明書』

開ける相手の材料と、1日あたりの穴の本数をお聞かせいただければ、本体と超硬ドリルの径の組み合わせまでお答えします。

当社はマキタの代理店として、本社と5つの営業所から電動工具と建築・土木資材をお届けしています。
ご不明な点がございましたら、お電話でもお受けしております。082-232-1141(当社 本社)

よくあるご質問

取扱説明書の石工の行に書かれた径まで、どのコンクリートでも開けられますか

径の数字だけでそこまでは読めません。硬い相手の穴あけ能力にあたる行は、機種によって5通りの欄名で書かれています。

  • HP1230は最大穴あけ能力のコンクリートで12mm
  • M816は最大穿孔能力のコンクリートで16mm
  • HP2032と8406は穴あけ能力のコンクリートで、HP2032は高速20mm・低速は横棒
  • HP484DとHP001Gは穴あけ能力の石工で13mmと20mm
  • HP330Dは穴あけ能力の超硬ドリルで8mm

1回の充電での作業量に材料として挙がるのもレンガとモルタルです。開ける相手が鉄筋の入ったコンクリート躯体である場合は、径が範囲内でも打撃方式の別の機械をご検討ください。

ハンマードリル用のSDSプラスの超硬ドリルを振動ドリルに取り付けられますか

軸の形が別ですので取り付けられません。SDSプラスシャンクは軸の溝を本体側がつかんで前後に動かす差し込み式で、HR2300の取扱説明書は溝部にグリスを塗って奥まで差し込む手順を書いています。振動ドリルの側は丸軸をドリルチャックで締めてくわえますので、溝の入った軸を締めても芯が出ず、打撃を前後に伝える仕組みもはたらきません。逆にハンマードリルへ丸軸のキリを付ける別販売品はあり、HR1841Fのドリルチャックアッセンブリは木工と鉄工用で回転のみで使用するよう指定されています。

マキタの資料で振動ドリルという製品名が見つからないのはなぜですか

分類名と製品名の漢字が震だからです。HP1230の取扱説明書の表紙は12mm震動ドリル、M816は16mm震動ドリル、HP2032は20mm 2スピード震動ドリルで、充電式はHP001GもHP484Dも充電式震動ドライバドリルです。

同じ冊子の中でも、振動3軸合成値という測る量の名前には振が使われ、モードの呼び名は機種ごとに震と振が入れ替わります。現場では振動ドリルという言い方が通りますので、資料を引くときだけ震動でも探してみてください。広島でマキタの取扱店をお探しの場合は、広島のマキタ取扱店の探し方もあわせてご覧ください。

アンカーの下穴の径は振動ドリルの最大穴あけ能力に合わせればよいですか

順番が逆になります。下穴の径と深さは使うアンカーやプラグの品種ごとに決まっていますので、まずアンカーの説明書に書かれた寸法をお読みください。本体の穴あけ能力とドリルチャック能力は、その径が本体の範囲に収まるかを見るための上限として使います。開けた後は取扱説明書にあるように超硬ドリルを回しながら2回から3回出し入れして粉じんを出し、穴に残った分は別販売品のスポイトで取り除きます。

当社では、使用予定のアンカーの品番をお知らせいただければ、指定の下穴径に合う超硬ドリルと本体の組み合わせをお答えします。

通販で買った振動ドリルの修理はどこに出せばよいですか

恐れ入りますが、他の販売店やホームセンター、通信販売でお求めになった製品の修理は当社ではお受けしておりません。お買い求めになった販売店、またはメーカーの窓口へご相談ください。マキタ製品については、マキタが全国129か所の営業所を通じてサービス活動を行っており、営業所とマキタ登録販売店が窓口として案内されています。当社が納めた製品については、機種と症状をお知らせいただければ、進め方と代わりの機材の手配をあわせてお答えします。

出典:株式会社マキタ『12mm震動ドリル HP1230 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『16mm震動ドリル M816 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『20mm 2スピード震動ドリル HP2032 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『ハンマドリル HR2300・HR2600・HR2601F・HR2611F 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『ハンマドリル HR1841F 取扱説明書』
出典:株式会社マキタ『支店・営業所』

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当社はマキタの代理店として、本社と5つの営業所から電動工具と建築・土木資材をお届けしています。
ご不明な点がございましたら、お電話でもお受けしております。082-232-1141(当社 本社)

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